『書く、読んでもらう、読む、書く、読む、書く、読んでもらう、書く』の件について
こんにちは、大友青です。
今日のテーマは大友流の書き方。
書き方、というよりは、原稿の仕上げ方、ですね。
ヘッダーの通り、『書く、読んでもらう、読む、書く、読む、書く、読んでもらう、書く』を経て一作品を仕上げています。
8行程をかけているわけですね。
では、これはどういった事なのか、順番にお話していこうと思います。
こんなやり方もあるのか、くらいの話です。
第一行程:書く
何をするにも、まずは書かなければなりません。ただ、この第一行程に入るまでの準備というのが俺の作品の七割程度を占めている気がします。
書くためには、まずはネタを決めます。
こういうテーマ、こういうメッセージを持った作品を描きたい。というイメージがネタです。
そのイメージが固まったら、題材を決めます。
題材とは、ネタを伝えるための世界観であったり、舞台。どういう事を通して伝えるか、です。
題材が決まったら、物語のアウトラインを考えます。
その題材で、どういった進行をして、ネタを伝えるか、です。物語の起承転結など重要なポイントを決めていく大事な作業です。
アウトラインが決まったら資料チェックと取材が始まります。
たとえば、題材の中での職業や、話題にあがるもの、アイテム、書き記すべきもの、に対して理解を深める作業です。
その中でとても大変なのが取材です。
たとえば登場する場所なら、実際にその場所に赴く必要があります。その場で感じる空気や臭いなどは重要な資料になります。
場所であれば、赴くだけでいいのですが、職業に対する取材はさらにハードルがあがります。
今のところは人脈を使って、なんとかやっていますが、書けば書くほど、そうも行かなくなってしまいますね。
手元に残ったこれらがプロットになるわけです。
資料チェックと取材が終わり、題材に対する理解が深まって、ようやく執筆を行います。
まず書くのはアウトラインにそった下書き。
僕的には文字をアウトプットする時間というのはひたすらに無駄な時間だと考えています。こんな事を言うと怒られそうです。
と、いいつつも作品を作る上では避けられない行程です。
ただ、ひたすらにアウトラインに沿った下書きを終わらせます。いわば家を建てるための骨組みですね。
骨組みだの、下書きだの、言いつつも、この時点で読み物としては成り立つレベルに仕上げます。
アウトラインに沿っているので、物語がどのような内容なのか、感情の起伏、全て描いていきますが重要なのは『ざっくりとしてるが全てがわかるレベル』を保つことです。
読んだ時に『よく纏まっていますが、薄味ですね』と言われるくらいに仕上げます。
これが第一行程の『書く』です。
第二行程:読んでもらう
これは言葉の通り、読んでもらいます。
読書が好きなら誰でもいいです。
しかし、時間を頂くので誠意をもってお願いしましょう。
親しき仲にもなんとやら、です。
少なくとも五人くらいに読んでもらって、それぞれが抱いた感想や気になる点などを教えてもらいます。
抱いた感想や意見というのは、人それぞれなので、せっかく読んでくれた方に怒ったりしないで、どんな意見も聞き入れましょう。
この段階で重要なのは、読者がどのような事を抱くか、が狙いなのです。
アウトライン通りに沿っていれば、伝えたかった事は伝わるはずです。でもその通りにいかないのであれば、加筆・修正する必要があるので大事にメモしておきます。
読んでもらった方にはお礼を言いましょう。
第三行程:読む
第三の行程は、自身の原稿の読み直しです。
行程ニで言われた事を意識しながら、自身で読み進めていき、さらに気になった箇所をマーキングしていきます。
第四行程:書く
別の原稿を書きます。
同じ原稿にひたすら向き合っていても、「んーんー」とか唸ってるだけになりがちです。
おとなしく別の原稿を書きます。
つまり、作品を『寝かせる』のです。
この第四行程は次作の第一行程を行っています。たまに思いつきの掌編を書いたりもしています。
第五行程:読む
書くのは飽きた。
正直、もう書くのは飽きた、のフェーズです。
第五行程の『読む』については、自身の作品を読むのではありません。
読書します。
下読みフレンズの作品を拝読したり、商業誌などを読みます。それはもう存分に読書します。
だいたい3~5冊ほど読みます。(10月は読み過ぎて15冊読んでました)
読む、というのはインプットの時間です。
刺激を受けるのもいいですし、書き方や見せ方を学ぶ事もできます。また、出版社の表記規則などを読みとったり、傾向なども把握する事ができます。(この辺りは組版の勉強でもある)
だいたい、本読み過ぎて、自分の書いた原稿の内容なんて忘れちまってるくらいがベストです。
第六行程:書く
読むのは飽きた、のフェーズです。
この段階まで来ると、書くのも読むのも飽きたけど、締め切りやばいし、しゃーねぇし書くかって感じです。
書いた原稿を読み直してみると、あら不思議、気になる点が第三行程の時より増えています。
これは第五行程の影響が大きいと踏んでいます。
この第六行程で作品95%を仕上げていきます。
いわば肉付けです。
ストーリーが足りなければ、足します。
逆にだるい・不要な部分は削り取ります。
でもプロットから逸脱しない程度な修正です。(時にプロットを大きく変えてここで修正かけますが)
僕がここで一番大事にしているのは心理描写と情景描写です。
きっと第一行程で物語は見えているはずなので、心理描写と情景描写を書き足していきます。
全体のバランスを見ながら加筆するのがよいでしょう。
あっさり流していいところを加筆しすぎると『くどい文章』になります。
くどいくらいが丁度いい場面、あっさりいってほしい場面、その全体の空気感を読みとりながら、全体のバランスをコントロールします。
緩急・抑揚ですね。
また作り物感をなくしていく作業も重要です。
(リアリティの追求)
この行程が終える頃には、もう満足しています。
やべぇ、くそおもろい、賢者モードです。
第七行程:読んでもらう
第二行程で読んでもらった方でもいいですし、別の方でもいいです。
これも五人ほどには読んでもらいます。
同じように抱いた感想や意見をもらいます。
正直ここまで来るとドヤ顔なのですが、それでも頂いた意見を慎重に吟味します。
直すべきか、直さないべきか、それを判断するのは自分自身なのです。
下読みフレンズも『読む仕事』をしている方の方が珍しいでしょうから、見逃しなどもあります。
すべての意見を鵜呑みにするのはいけませんよ。
あとで喧嘩になります。
『君が言ったからこうしたのにっ!』
うわ、こっわ。
第八行程:書く
最後の仕上げです。
第七行程で必要と判断した添削を行います。
これで晴れて満足の行く一作品が出来上がりました。
まとめ
Webで連載を抱えている方などは結構、書いてそのまま掲載する方が多いと思います。
僕も当時はそうでした。
Web上を下書きの場所、としている方も多いと聞きます。
僕が大友流八行程を実践するようになって一年くらいしか経っていませんが、第一行程だけの作品と第八行程まで終えた作品では、作品から流れ出るオーラというか、気質というものが別物のように感じます。
第一の段階と第八の段階で読んでもらったフレンズにも同じような事を言われるので、きっとそうなのだと思います。
話の大筋は二つとも同じなのに、読み応えや読後に抱く想いの強さが違うのかな、と分析しています。
結構、大変な作業ではあるのですが、一度、試してみてはいかがでしょうか。