『文芸公募とWeb公募』の件について
こんにちは、大友青です。
不定期といいつつ、2週間を目処に更新しようと自分の中で緩いルールを決めている大友青です。
今日は『文芸公募』と『Web公募』について思うところを書きます。
私はWebケータイ小説から始めたもので、エブリスタをはじめとする投稿サイトが主催のWeb公募に何度か応募したことがあります。
当時の私の視点から感じていたこと、それはWeb公募の敷居の低さ。
ボタン一つで応募できるわけですから、楽チンですし、一攫千金を狙ってポチるわけですね。
対して文芸公募ってのは、なんだか厳かでよく調べもせずに敬遠していました。
賞金ほしいぞ、印税ほしいぞ、なんて言ってる割にね。
それって既に可能性を限りなく削っている事に気が付き、文芸公募を調べてみても応募規定に書いてあることが難しくてそこで『やっぱりやめよ』となった人も多いでしょう。
今の私から言えるのは、そこで諦めないでほしいということです。
その根拠についてはビジネス論から下記のように考えますがはっきり言って現実的な話なので『小説家になるのが夢』の人は見ない方がいいかもしれません。
『小説家になるのが今の目標』の人は参考になるかもしれません。
とにかく、話はプロデビューしてからだ、という方はWebも文芸も両方応募すればよいと思います。
ただ、そこに生活などを考えているのなら、選択肢は『文芸公募』一択になってきます。
なぜか?
では、投稿サイトから発売される書籍のメリットとはなんでしょうか?
横書きのものを無理やり縦書きに直し、出版する。なので読書家に叩かれる。ケータイ小説が読書家に嫌われる。
この話は以前書きましたね。
出版社側からすると『Webで人気の作品を出版する』ことは、『安定した小銭稼ぎ(売上)が見込める』のです。
出版社側もビジネスですから、売れるか、売れないかわからないものを販売することはしません。
Webで絶大な支持がある作品は、その界隈にだけは間違いなく売れる見込みがあるのです。
そのため、書籍化されても少数部数での販売になります。
それでもガンガンに売れる作品はあるのですが、ごく一部の方々のみ。
生活を考えているなら、この狭き門を目指すのは得策ではありませんし、個人が目指してなれるものでもない部分です。
Webから出てガンガン売れてる作家さんに話を聞いても、なぜここまで売れているのかわからない、と答えられる方が殆どです。
それは作品の面白さだけでは成り立たないバランスなのです。
あとWebから出版すると印税が少ないです。
これは投稿サイトが紹介料を引くためです。
投稿サイトもビジネスですから、それで社員にご飯を食べさせなければなりません。
また、Web公募はその気軽さから、応募数が異常に多いです。単純に倍率がやばいので、そこから一枠を目指すだけでも、かなりのエリート戦士です。
では、なぜ文芸公募を私が推奨するのか、というと、Webとは真逆の事が言えるのです。
まず、文芸公募は応募数がかなり少ないです。
大体100-500作品くらいです。
電撃文庫だけは異常ですが。
つまり、応募するだけで100分の1に入る事ができます。
そう考えると倍率は急激に下がりましたね?
もちろん運で決まるものではないですが、人生運も実力のうちです。
文芸公募は出版社サイドで最終候補まで選定します。単純に面白いもの、商用として利用できるものが選ばれます。
文芸公募はどこにもでていない原稿だからこそ、贔屓目なしに作品で選んでもらえます。
出版社もビジネスなのでガチで選んでくれます。
そして最終候補から受賞作の選定は、小説家が行うケースが殆どです。
はい、これが一番の鬼門。
小説家は『売れる』かなんて見ません。
『面白い』かです。自分の感性でみるわけだから、これはまじで運です。運も実力のうちです。
安心してください、落ちたとしても最終候補までいけば出版社の担当がついてくれるケースが殆どです。
落ちても実力がないと言うわけではありません。
悲嘆してはいけません。
で、いざ受賞すると作家の講評がつきます。
それを読んだ読書家やファンが興味を持ち、書籍を購入するという正のスパイラルです。
そして賞金額も大きく、印税も中間マージンが発生しません。
さらに賞を受賞することで他の出版社とのお付き合いも始めることができます。
それは、今後の作家生活に繋げる大きなチャンスになるわけです。
出版社も人気はまだ0の状態ですが、売るための努力を重ねてくれます。
中には失敗して赤字になることもあるでしょうが、そこの採算はWeb公募から賄われたり、別のところから帳尻あわせします。
つまり、Web公募は言い方悪く言えば、先にも書いた通りの小銭稼ぎなのです。ここで博打を打つための初期費用の一部になるわけです。
(実際はWebと文芸で社内の財布が違うでしょうが、会社の損益上は同じ)
気になる初版ロットは様々ですが、文芸公募でデビューすることが、いかに大きなリードになるかはご理解いただけましたでしょうか?
もちろん、その先は自身で切り開いていくわけですが、これで生活していきたいと考えている方は、文芸公募を目指してみてはいかがでしょうか。
もちろん、Web事業も良いのですが、目先だけよりも10年後、20年後を考えるとね。
自営業ですから!