『作者と読者の温度差』の件について
こんにちは、大友青です。
今回は『作者と読者の温度差』について、ということですが、いったいなんじゃらほい?
サービスを提供する側(作者)の気持ちと、サービスを受ける側(読者)の気持ちの差。と、書けば少しわかりやすくなるでしょうか?
今回はケータイ小説界隈を基準にお話します。
ご存知の方もいるかとは思いますが、私は元々Web読み専(書く事をせずに読むだけの人)でした。
コミカライズした作品の原作がケータイ小説だった、というのがきっかけです。
恥ずかしながら、紙の小説というものはこれまで無縁の生活をおくってきました。
そんなおっさんの実体験でもありますが、
ケータイ小説読者が、なぜケータイ小説を読むか……考えてみたことはありますか?
汎用的な答えは『手軽さ・暇つぶし』です。
現代において生活の一部となってしまった携帯電話・スマートフォンというものは、財布や家の鍵と同等に持ち歩くことが当たり前の存在になっています。
通勤、通学中、トイレの中まで。
暇つぶしの道具として活用されていますね。
特にスマートフォンが当たり前になって以来、爆発的に利用者が増えたもの……
1つは、ソーシャルゲームです。
そしてもう1つは、ケータイ小説です。
と、言う情勢からわかるように、現代人というのは一時的な娯楽を求める傾向にあるようです。
このブログを読まれている方でも、思い当たる節があるのではないでしょうか?
僕なんてソシャゲ廃人ですからね。(学生時代はPCオンラインゲーム廃人)
加えて、紙の本をたくさん読む人……というのはケータイ小説を嫌う傾向が強くあります。
理由は偏見が殆どですので割愛します。(これも心当たりのある人多いのでは?)
なのになぜ、ケータイ小説が人気なのか?
それは『普段、紙の本を読まない人がケータイ小説を好む』からなんです。
これも理由は様々なのです。
本を持つのは重たいとか、眠たくなるとか。
そういう物語や本の本質とは関係ない部分で紙の本を読まない人が、ケータイ小説を読むのです。
なぜか?
それは漫画やWebニュース、2chまとめなんかと同じノリです。
横書きというのも一つの決め手でしょう。
長々と書きましたが、ケータイ小説を読む人の殆どが『普段文字とは無縁の人』であることは間違いありません。(もちろん例外もいるでしょうし、書く人は除外)
基本的に視覚で楽しみますから、何も考えずともすっと頭に入ってくる文章や内容というのが人気を呼びやすい傾向にあります。
一方、作者はどうでしょうか。
入口はどうであれ、半年、1年、それ以上……執筆をしていると筆力がついてきます。
そしてその筆力の違いを自覚しはじめますよね?
その時、過去の作品や長期連載作品の冒頭など、『なんてこったいクソじゃねーか』って思ったことないですか?
私はめちゃくちゃ思います。
これが温度差の始まりです。
作者なんてみんなエンターティナーですから、読者に楽しんでもらおうと思うものですよね。
だからやっちゃうんですよね
『書き直し』
上手になった文章のほうが、より楽しんでもらえると錯覚するんです。
いいですか、錯覚してるだけなのです。
読者を理由にして、『自分が気持ち悪い』のを解消したいだけなんです。
私もよくしました。
でも読者ってそんなこと微塵も望んでなかったりします。
紙の本を出している作家が、『あ、あの時より今のが筆力あるんで書き直してもう一回だしますww』なんて言いますか?
見たことあります?
作品って書いた瞬間に、書き終えた瞬間に、過去の作品になるんです。
過去の作品に縋るより、未来の作品に時間を使ったほうが生産性が高いといえるでしょう。
私はどうしても自分の中で踏ん切りがつけられなかった作品は別の作品として全編書き直しました。
完全に自分のためにですね。
読者との温度差があるにも関わらず、Webの公募が増えている昨今。
書籍化を目指している作者も多いとおもいます。
目標をかかげて筆力があがればあがるほど、読者との温度差は上がっていきます。
それに耐えられなくなった人は、大人しく文芸・文学界に移行したほうがよいでしょう。
ケータイ小説にはケータイ小説の書き方があります。
書籍化を目指して、少しでも『小説』の勉強をしてしまうと純粋なケータイ小説に戻れなくなります。
※ケータイ小説と小説は全く別物だと考えます。また、ケータイ小説とWeb小説も別物と考えます。
読み書き両方するようになって、ケータイ小説って型破りで何でもありなのが、一番読んでて楽しいと感じます。
先のブログでも書きましたが、ケータイ小説をディスってるわけじゃないです。
むしろ、ケータイ小説は文字の世界を広めるために必要不可欠な存在でしょう。
僕もケータイ小説に生かされてる身です。
今回は顧客ニーズの話題であったため、少しマイナスな内容だったかもしれないことは詫びます。
ケータイ小説にはケータイ小説のプロがいます。
文芸には文芸のプロがいます。
文字を書くことは同じですが、畑がまるで違います。
今あなたが書く事で悩んでいるのなら、思い切って畑を変えてみるのも一つの手段かもしれません。